都市開発が変化する

感染症に弱いことを証明した“都市”

今回の新型コロナウィルス(COVID-19)でわかったことの1つに、“今の都市は感染症に弱い”ということがある。

政治、経済、教育などあらゆるものを1カ所に集約し、利便性を図った「都市」を形成してきた結果、今回のような未知の感染症が発生した時にさまざまな“移動”を止めることができず、アメリカのニューヨーク、イタリアのミラノ、フランスのパリ、スペインのマドリードなど都市封鎖(ロックダウン)をせざるを得ないほどのウィルスの感染拡大が起こってしまった。

日本においても首都・東京が最多の感染者数になってしまい、緊急事態宣言を発出するまでに至っているのが現実だ。

都市機能が停止するダメージが大きすぎる

こうした状態になってしまうと経営資源「人・モノ・金・情報」の内「人」と「モノ」が止まってしまい、実体経済に大きなダメージを与えてしまう結果にとなってしまった。しかもその状況がどこまで続くかわからないのが感染症の怖さでもある。

こうした今の結果を踏まえて、これからWithコロナの時代においてのあり方について、『シン・ニホン』(2020年、NewsPicks)の著者で有名な慶應義塾大学の安宅和人教授は、「開疎化」を提唱した。

「開疎化」は安宅氏が生み出した造語であり、密閉、密集の逆の「開放(Open)」と「疎(Sparse)」を合わせた言葉である。※図を参照

これは、マクロとミクロの視点があり、マクロでみれば今の都市機能をOpenとSparseさせる。つまり地方にさまざま分散させることにつながる。ミクロの視点でいえばオフィスなどの場も集約させない、また人の住まいも一極集中しないということである。

ICTを活用したこれからの生き方

そこでカギになるのは急速に発展した情報通信技術(ICT)である。これだけICTが発展しあらゆるツールが生み出されている今、それらを駆使すればオフラインで密集する必要性がなくなってくるはずだ。今回の事態で活用が進んだZoom、Skypeなどがそうしたツールの一例としてあげられる。

その結果、東京に住まずしてもオフィスに集まらずとも仕事が行え、人々の新たな働き方そして生き方が見えてくるだろう。既に徳島県の神山町などには、名刺管理で有名なSansanのサテライトオフィスや神山シリコンバレーなどがあるが、今回の新型コロナウィルスの影響を受けてこうした動きが再燃してくると思う。

ただし、そこでネックになるのが日本の“規制の高さ”だろう。先端技術を活用したソリューションを生み出しても、あらゆることが行政に偏っている(頼ってしまっている)日本社会においては何かしらの規制に引っ掛かり、それらを活用できない結果になる可能性は大いにあり得る。この「規制」が日本でイノベーションが起こりづらい原因の1つかもしれない。

他方で、“リバースイノベーション”という言葉を耳にして久しいが、開発途上国や中進国の方が規制も緩く、経済成長のためにもICTを積極的に活用している。例えばルワンダで輸血用の血液をドローンで輸送しているZiplineや東南アジアでは当たり前のように使っているタクシー配車アプリのGrabなどは有名である。

日本で地方の過疎地に住んだとしてもAmazonでの買い物をドローンが配送してくれれば問題ないだろうが、日本では規制が厳しく現状では実現は難しいだろう。また配車アプリなども存在はするが定着はあまりしていない…。後者は仕掛け人や何かきっかけがあれば解決しそうな問題ではあるが、前者は法律などが絡んでくるのでそう簡単な話ではない。

しかしながら、今回の新型コロナウィルスが引き起こしている事態を受けて、今後のあり方についても思い切った改革が必要になってくるのは間違いないことで、今はとにかく感染拡大防止が最優先であるが、感染対策が次のステージに進みだした段階では、未来に向けてのこうした事項もぜひ検討していってもらいたい。

世界の都市開発も大きく変化する

そして、視点を世界に移せば、タイやマレーシアなどの中進国とよばれる国々は「スマートシティ」構想を掲げ、集約型の都市開発を進めてきたが、今回の新型コロナウィルスの事態をきっかけに大きく方向転換に動き出すことになるだろう。

インドネシアなどはジョコ・ウィドド大統領が2019年8月に2024年までに首都を今のジャカルタから移転することを表明した。これはジャカルタがあるジャワ島に経済や人口が集中してしまっており、他島との格差是正を目指すものでもあり違う意図だったのかもしれないが、今回の事態をきっかけに実現はスムーズにいきそうな気もしている。

恐らく中進国は今回の事態を受けての都市開発に大きく舵を切ることになるだろうし、そこにはICTの活用はもはや言うまでもない。今後は分散型+ICT活用したデジタル世界での集約するまちづくり、社会インフラづくりが進んでいくのだろう。

そうしたWithコロナの時代に日本がどう変化をしていくのか。以前、国際協力の国内外の2つのベクトルについて書いたが、今までとは違った地方創生が動き出そうとしている中で国内での国際協力のあり方も改めて考えて動き出せるようにしておこう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です